天井クレーン(チェーンブロック、ホイスト)無線化についての注意点
天井クレーン(チェーンブロック、ホイスト)の無線化は、新しい無線リモコン(ワイヤレスリモコン)の登場により、より安価に、より手軽に、その作業効率向上への貢献度の高さから積極的に導入されるようになってきています。しかし、その反面、無線操作式クレーンの災害事故も導入数に比例して増加しているのが現状です。
そして、その災害事故の原因の大半が、安全に対する意識が希薄なまま無線操作式クレーンを運転する事により起こっています。
下記に、天井クレーンの無線リモコンを安全に使用するための最低限の知識を記しましたので、ぜひ、クレーンの無線化をご検討、また現在ご使用中の方はご一読いただき、安全な操業の一助にして頂ければと思います。
無線操作式クレーンを運転する資格について
- 5.0t以上の天井クレーンを無線で操作するには、「クレーン運転士免許」が必要です。
- 5.0t以下の天井クレーンについては、「クレーン運転士免許」「クレーンの運転の業務に係る特別の教育」若しくは、「床上操作式クレーン運転技能講習」が必要です。
無線操作式クレーンに使われている無線リモコン(無線操縦装置)は、電波法第4条の免許を要しない無線局である「微弱無線局」または、「特定小電力無線局」の電波を使用しています。
これらの使用には微弱無線局には「性能証明」、特定小電力無線局には「技術基準適合証明」が必要になり、わたしたちのテレクレーン商品群もそれぞれ電波法に基づいて認証を取得しております。
ただし、無線リモコン(無線操縦装置)を独自で改造することや、上記証明を取得していない無線リモコン(無線操縦装置)を使用すると法律により罰せられるので、十分ご注意ください。
無線操作式天井クレーンの使用開始前の注意事項
- 無線操作式クレーンが複数台ある場合は、操作装置とクレーンの対応が正しいかを確認すること。
- 操作装置の各スイッチに損傷が無いこと。
- 電池が充電されていること。
- 停止機能が確実に作動すること。
- 各スイッチの動作表示、作動方向表示が明確であること。
- 各スイッチの動きが円滑で、相反する動作のスイッチ間のインターロック動作に異常が無いこと。
- クレーンが各スイッチの表示どおり作動し、動作タイミングに異常が無いこと。
- 点検又は補修中でないことを確認すること。
※社団法人クレーン協会発行クレーン誌 無線操作式クレーンの安全に関する指針についてより抜粋
無線操作式天井クレーン運転時の注意事項
- クレーン操作を行わないときは、操作装置の電源は「オフ」にしておくこと。また、電源スイッチがキースイッチの場合は、キーを抜き取っておくこと。
- つり荷がよく見える位置で運転し、周囲の安全を確認すること。
- 運転するときは、足元の安全を確保すると共に安全な通路を通行すること。
- 操作装置の表示とクレーンの作動方向の表示とを常に確認して運転すること。
- 安全通路、車両通路を横断するときは、徐行すると共に警報を鳴らす等により周囲に注意をうながすこと。
- 走行・横行ストッパに当てて止めるような運転をしないこと。
- 1人の運転者が2台以上の操作装置を同時に操作しないこと。
- 操作は、3動作以上を同時に行わないこと。
- クレーンの作動中は直接つり荷及び玉掛け用具に触れないこと。
- つり荷の下及び荷の転倒の恐れのある範囲には立ち入らないこと。また、作業者を立ち入らせないこと。
- つり荷の反転作業を行なう場合、運転者や玉掛け作業者等のいる方向には反転しないこと。
- リフティングマグネット又は真空吸着機を用いて作業を行う場合、つり荷の高さはできる限り低くして運搬すること。
- 運転者は、荷をつったままで身体から操作装置を離してはならない。また、操作装置の制御範囲から外れないこと。
※社団法人クレーン協会発行クレーン誌 無線操作式クレーンの安全に関する指針についてより抜粋
クレーンを無線化する際の届け出について
わたしたちのご提供しているテレクレーン製品の導入に際しては、届け出は不要です。
3.0t以上の天井クレーンに関しては、「主要な部分」の変更をした場合について、変更届を提出する必要があります。
- クレーンのジブやアーム、本体部分
- エンジン(原動機)
- ブレーキ
- 吊上げに関する装置
- ワイヤーロープやチェーン
- フックなどの吊具
ですが、無線操作装置に関しての明確な記述はございませんが、弊社として変更届の提出は不要という認識です。
まとめ
電気チェーンブロック、ホイスト、橋形クレーン、クラブ式クレーン等々の天井クレーンを「無線化」することで、「安全で効率の良い作業」を手に入れる事ができますが、その反面十分な知識を持たないことによるリスクもあります。
ぜひ、機械的、電気的な構造、法的な知識が豊富な専門工事業者での施工を強くお勧めします。
また、関西近県での天井クレーンの無線化工事は、50年以上に渡り天井クレーンメンテナンス企業として活動して参りました、弊社グループ会社のサービスエンジニアが直接施工対応可能です。
また、それ以外のエリアに関しても、パートナー企業により対応させて頂きますので、まずは一度ご相談下さい。
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